治療

先述もしたように、現在、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の根治方法は見つかっていません。その為、対処療法という感じで薬が処方されます。
アルツハイマー型認知症に対しては、現在使用されている治療薬は大きく分けて2種類に分けられます。

コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA阻害薬です。主にマイネルト基底核から投射される脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの活性がアルツハイマー型認知症では低下していることが分かっているため、その分解を促進するコリンエステラーゼを阻害するコリンエステラーゼ阻害薬が各国で承認を受け治療に使用されています。現在日本では3種類の薬剤が利用できます。

ドネペジルは現在重症のアルツハイマー型認知症で使用できる唯一の薬です。用量は1日あたり3-10mg。ただし、コリンエステラーゼ阻害薬に共通して最も多い副作用である消化管症状(吐き気・嘔吐・下痢)がみられます。ドネペジルの効果については一定期間進行を遅らせることができると考えられています。また最近では、貼り薬も開発され、利用できるようになっています。

レビー小体型認知症に対しては、認知症に対する治療とパーキンソン症状に対する治療があります。まず、認知症に対してはコリンエステラーゼ阻害薬が効果を示すとされています。先述のドネペジルパーキンソン症状を増悪させずに認知症に対する効果を示すと考えられていますし、リバスチグミンは中核症状だけでなく周辺症状(BPSD)の悪化を抑制したとの報告もあります。

パーキンソン症状については、レボドパやドーパミン受容体作動薬が用いられます。しかし気を付けなければいけないのは、レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症と間違えられて診断されることが多いのです。しかも薬物に過敏に反応し(薬物過敏性)、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病の治療薬を通常量で投与することは逆に症状の悪化を招くことが多いのです。

特に、抗精神病薬に対する感受性が高く、悪性症候群をきたすことがあります。母親も、当初はアルツハイマー型と診断されていたため、ずっと相当量のアルツハイマー用に薬を服用しておりました。

認知症の診断

認知症の診断は段階を追って検査が行われます。

①問診
 本人やその家族に対して日々の症状を聞いたり、本人との会話を通して記憶力の確認を行います。
②身体検査
 体の状態などから認知症かどうかを調べます。
③認知機能テスト
 医師からの質問に答える形式で、認知機能を評価します。多くは改訂長谷川式簡易知能評価スケールが用いられます。
④精密検査
 CTやMRIなどで脳の状態を調べたり、血液検査や尿検査などの検査を行います。若干の入院が必要になります。

母親の場合、脳神経外科医行きました。頭が重いとかいろいろな症状を言うので検査をしたのですが、全く異常なしということで、精神的なものからくるのではということで精神科へ回されました。そこでアルツハイマー型認知症と判断され薬を処方されました。田舎の小さな市民病院でしっかりした検査を行っていなかったこともあり、愛知県大府市にある「国立長寿医療研究センター」のもの忘れセンター外来へ連れて行きました。

そこでは先に挙げたとおりの順で③までの検査が行われました。その時も長谷川式といわれる検査をやったのですが、30点中27点といわれたのを記憶しています。それで間違いなく認知症ですと言われました。しかしもっとはっきりさせるために、入院して検査を進められました。当時世界に10台しかない検査機器があるからハッキリするといわれ、およそ一週間の検査入院をし、その時は、アルツハイマー型認知症だと診断されたのを記憶しています。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は日本で発見されたとされています。1976年以降に医師の小阪憲司によって世界的に知られるようになりました。レビー小体とはドイツの神経学者フレデリック・レビーによってパーキンソン病変の脳幹で発見され名付けられた封入体であり、大脳皮質にこれが多く認められることから、小阪によってびまん性レビー小体病と名付けられ、その後1995年イギリスにて行われた国際ワークショップにて現在の名称になりました。
症状はというと、幻覚(幻視)や妄想などがあげられるようです。非常にリアルな幻視が現れると考えられ、患者本人は具体的に「そこに人がいる」などと訴えてきます。

私の母親も、全く同じことを言ってきました。すごくリアルに人が見えるようで、寝室に歩いて行っては、「おい!誰だ」とか言っていましたし、食事の際も、自分がご飯を食べているにもかかわらず、自分のご飯を違う人が食べているように見えているようで、「私のご飯を食べるな!」と言いながら、ご飯を食べていました。やがて、アルツハイマー型認知症のような認知障害と、パーキンソニズムと呼ばれるパーキンソン病様の運動障害の両方が症状として表れます。歩く際に足をあげられなくなり、すり足のように歩き出します。徐々に進行し、最終的には寝たきりになってしまいます。

この病気の進行について、ある研究ではアルツハイマー病より進行が早く6年かそれ以内で最終段階に進むとされていますが、一方ではアルツハイマー病と変わらないという報告もあります。しかし、寝たきりになったり、死亡したりすることはアルツハイマー型認知症に比べると早く訪れるとしている報告があります。同年齢ではアルツハイマー病に比べて約2倍の死亡率で、平均的な寿命はアルツハイマー病85歳に対して78歳とされ、男性では1.5倍死亡率が上がるとされています。レビー小体型認知症の確定診断がでたあと、平均7年の余命だといわれています。私の母親は現在、確定診断が出て3年が経過しています。

しかし、このレビー小体型認知症はアルツハイマー型と間違われて診断されていることが多いのです。現に母親もアルツハイマー型といわれていました。病院を変えたことにより発見されたのですが、それ以前からだと考えると、余命がいかほどが・・・。